●ワンマンライブを目前に控えた「rabuka」の3人に、インタビューをさせていただきました。ukishizumiとも交流があるメンバーなので、和やかに、でも真剣に、お話してきました。ワンマンへ足を運ぶ予定の方はもちろん、rabukaを知らない方にも、ぜひ読んでいただき、rabuka企画がいつもお客さんに愛される理由を、感じとっていただきたいです。
■rabuka lunch time one man show
『東京ラブカストーリー』
2013年3月24日(日) at 渋谷7th Floor
guest O.A. 雑魚猫タワー
開場11:30 開演12:00
ご予約:3000円(Lunch&Drink込)
お問い合わせは、rabukaのHPへ!(LINKから飛べます)
「演奏する側というよりは、お客さん側が聴きやすい状況を作ってあげることの方が重要」
ー ワンマンライブが近づいてきましたね。
幸喜 3月24日(日)だから、本当にもうすぐだ。
ー いつ頃から構想してたの?
ゆめん 年末くらいに、ワンマンやりたいねって話してた。やっぱり長い時間演奏できる機会はなかなかないから、自分たちでやろうと思って。7th floorは雰囲気もいいから、演出も考えたり、色々準備してます。
ー rabuka企画は今まで、渋谷のカフェ・MUD COFFEEだったり目白庭園のお茶室だったり、変わったところで開催してきたけど、rabukaにとって会場選びで大事なところ、基準ってどんなところ?
ゆめん くつろげるところ、あと、清潔であること。笑。ご飯が美味しいとか、+αがあるところ。
幸喜 rabukaの曲は世界観があるし、1曲1曲の尺が長いから、普通のオールスタンディングで、人が密集してる中で観るとなると、ちゃんと聴けないと思うのね。これは俺がお客さんだった頃から思ってたことで、rabukaは集中して観たかったから。だから座れて、スペースに余裕があった方がいい。演奏する側というよりは、お客さん側が聴きやすい状況を作ってあげることの方が重要かなって。
ももりょう 場所については、ボス(ゆめん)が、お客さんに楽しんで帰ってもらいたいっていう気持ちが人一倍強い人なので、まずお客さんが会場に入って驚きというか、ここいい!って思ってもらえるところで、尚且つ内容も良かったって思ってもらえる企画をやってきたつもりです。今回は、演奏に集中もできて、ある程度演出をできる設備があるところってことで、7th floorがいちばん良かったので。
ゆめん rabuka、踊れるバンドじゃないしね。苦笑。静かに観れるところがいい。
幸喜 あと、ちょっと個人的にこだわりたい部分はあるんだけど。お客さんのなかにはお一人様がいるわけじゃん。知り合いもいなくて話せない状況で、うっかり早く着いちゃって、30分ずっと隅っこで一人でいてって、辛いじゃん。混んでるなら身動きもとれないしさ。だからその時間をゆったりできるところが良かった。7th floorは早く着けば座れるしね。始まるまでにストレス感じさせちゃったら、1曲目2曲目が気分乗らなかったりもするし。それは嫌だから。リラックスできるっていうのがいちばん。
ー 今まででいちばん長い演奏は、ContraryParadeと2マンのときの50分だったけど、今回はそれ以上の演奏になるわけで、初めての経験だと思いますが、不安と楽しみ、どっちが大きいかな?
ゆめん どんなに好きなアーティストでも、飽きる瞬間ってあって、それは一体どうしてなのかを自分達に置き換えて考えるいい機会だとは思うし、今はいかに飽きさせないかっていうのを考えているから、確かに不安ではあるかな。rabukaを好きでいてくれる人にとっては、いつもと同じチケット代でも、ブッキングやイベントに比べて色んなことができるから、コストパフォーマンスがいい・・かな?
幸喜&ももりょう 笑。
幸喜 ぜひ来てください。ランチとドリンクが付いて3000円。席数には限りがございます。
ー ランチは、前回の2マンはサンドイッチだったけど、今回は・・・?
ゆめん たぶん違うものになると思います。そこはお楽しみに。
「自由になった部分というか、前より広がった気がする。それは、音楽性が変わったんじゃなくて、人として成長したんだと思う」
ー rabukaは3人が主軸で、サポートミュージシャンを招いた演奏のときもあるけど、今回の編成は?
ゆめん いちばんミニマムなのが3人、最大で6人かな。曲によってギター(山本志歩さん)、コーラス(ひだけいこさん)、ピアノ(マフくん)が増えます。
ー では編成に絡めた話で、これまでを振り返りたいと思いますが、最初はゆめんさん一人だったよね。始めたのは何年?
ゆめん 2008年・・・うわぁもう5年前だ、どうしよう。
幸喜 どうしよう!
ももりょう 笑。
ー サポートを迎えた活動、メンバーの加入や脱退、いろんな時期があって、今の3人になったわけだけど、率直に今はrabukaというバンドに対してどんな気持ちなのかな?メンバーに対してでもいいし、活動自体でもいいし、音楽性の話でもいいし。
ゆめん 曲自体は、2008年とあんまり変わってない気がする。アレンジや歌い方は変わったけど。根本の部分は変わってないと思ってます。メンバーが変わっていったのは、完全に不可抗力で、私からクビと言ったことは一度もなくて・・・。
幸喜&ももりょう 爆笑。
ももりょう それは言っておいた方がいい。笑
ゆめん なので、難があるとしたら、ボーカル(自分)だと、思っていただいて結構です。苦笑。
ー ももりょうくんが加入したのはいつ頃だったっけ?
ゆめん 2010年の秋。
ー こういう機会なので、ももりょうくんに聞きたいことがあります。ずっとたくさんの人のサポートをしてきて、色んな個性のソングライターと演奏しているけど、ゆめんさんの曲をどう捉えているのかなって。他の人とは何か違う?
ももりょう ソングライターとしては、独自な人だなと思う。普段の生活もかなり独特ですけど。笑。それが曲に滲み出てる。ありきたりって言えばありきたりな音楽なんだけど、性格が特異だから、それがそのまま曲になっているイメージです。だから新曲を持ってきたときに、今度はこの部分がきた、こんなところが来たっていう発見があって、それが楽しい。
ゆめん 曲の雰囲気って変わってきてると思う?
ももりょう 初期と比べたら、自由になった部分というか、前より広がった気がする。それは、音楽性が変わったんじゃなくて、人として成長したんだと思う。
ー 外から見てる感想を言わせてもらうと、前の方が、ポップさに拘りがあったのかなって思う。お客さんに伝わりやすく、わかりやすくっていうのが曲にみえてたかな。それがなくなったのが、「虚構によせて」だった気がする。
ももりょう 確かに、あの曲は変化の点だったかな。
ー あの曲には、お客さんに委ねる部分が大きいと思う。それこそさっき話してた、会場の雰囲気が活かされる曲だし。
ゆめん いちばん最初は、誰にもわかってもらえなくていいと思って歌詞とか書いてて、途中からもっとわかってほしくなって、それが混ざってきたのが今の状態なのかな。
ももりょう インタビューだからってことで深く考えて言うと、最近の方が、自然かな。会話とか、日常的なところから生まれてる気はする。前の方が創作物という雰囲気がある。
ー ライブの空気感もね、「静かなのに深い」っていう風になったよね。落ち着いてるのに内側で揺れ動いてる音楽っていうか。深海っぽくなってきたんじゃないかな?って、インタビュアーが評論しちゃ、本当は駄目なんだろうけど。
ゆめん いや、それぜひ書いて。アピールして。笑
幸喜 じゃあもっと音楽的な話しようか。BPMでいうと・・。
ー そういうのはいいです。
ゆめん&ももりょう 笑。
「今回のワンマンは、3人でやってても、サポート入れても、rabukaっていうものは変わらないんだよって明確に打ち出したい」
ー 幸喜くんは加入したのが1年前だけど、加入する前、加入した後の、それぞれrabukaの感想を聞きたいんだけど。
幸喜 俺の前は、あんなに上手くてかっこいい人だったじゃん。だからね、最初は、なんで俺?って。
ゆめん キャラクターが違う人じゃないと成立しないと思ったから。あと、探してたけど、ずっといなかったの、メンバーにしたいくらい好きな新任ベーシスト。1年くらいベースレスで活動して、でも曲によってはどうしてもベースが必要になってくるじゃない。だから、代わりを見つけるんじゃなくて、新しいタイプの人を入れようって話してて。で、私がukishizumiに参加したときに、幸喜さんと仲良くなって、アップライトベースが新鮮だったし、人となりもわかってるから、いいなと思って、誘いました。
幸喜 最初はサポートで、2012年の4月に、7th floorだった。今回、ワンマンでだいたい加入1年だし、同じ会場だし、同じ曲も演奏するから、面白いなと思う。あとね、俺はサポートで誰かのライブに参加することは今までもあったけど、サポートを迎える立場になることはあんまりないから、今回のワンマンは初挑戦の気持ちもあるね。
ー 激しいロックバンドをやることが多かった幸喜くんが、rabukaのような落ち着いたバンドに加入して、この1年はどうでした?
幸喜 楽器を始めたきっかけが、やりたいジャンルがあったからじゃなくて、自分を表現するツールのひとつとしてだから、ロックバンドでも、rabukaのようなバンドでも、基本的には一緒。演劇の例えになっちゃうけど、自分は舞台上では、ベーシストという役の俳優っていう考えに近いから、バンドという台本を渡されて、自分なりのベースラインなり魅せ方なりを考えてるっていう感じ。脚本を考えるのはソングライターで、自分はただ一生懸命表現する。脚本演出ありきな性格だからこそ、違和感なく加入できたし、楽しく活動できたよ。
ー 二人から見て、この1年はどうでした?
ゆめん この1年は、最初はキーボードを探すことから始まって。びっくりするくらい見つからなかったけど、3人だとライブが物足りないって言われるのが嫌だったから、お互い演奏を切磋琢磨したのが前半の半年だったかな。後半の半年は、3人に慣れてきて、3人で出来る最大限を広げる作業をしてた。この頃から、3人の方がいいっていうお客さんが出始めて、少し自信になって。でもそうじゃない人も絶対いるから、サポート入れてライブしたり、試行錯誤して。今後はどうなるかわからないけど、この3人がまとまってたら、いいのかなって思い始めました。
ももりょう 今回のワンマンは、3人でやってても、サポート入れた最大6人でも、rabukaっていうものは変わらないんだよって明確に打ち出したいと思っている。音の厚みやアレンジの関係で人を増やすことはあっても、rabukaはこの3人だし、この3人がいればrabukaなんだぞっていうのは見せたい。
ゆめん うんうん。
ももりょう ゆめん&ももりょうで活動してた時期も少しあったんですよ。ベースが失踪して、鍵盤が参加できない時期に。そこに1年前に幸喜さんという強い味方が現れて、3人で1年活動してきての、今回のワンマンなので、気合もあるし、この3人だからこその安心感もある。あと、ワンマンできるくらいまで頑張ったっていう気持ちもあるんだけど・・・あれ、なんでみんな笑ってるの?
(ももりょうくんが話してる途中で、店内の音楽に反応するゆめんさん。幸喜くんがそれに乗っかって笑ってしまい、話題がずれ、一時インタビュー続行不能に。ももりょうくん、いい話の途中でごめんなさい。)
ー さて、気を取り直して・・。ももりょうくんにもうひとつ聞いていいかな?rabukaの曲で、今いちばん好きな曲は何かな?もちろん日々変わるだろうし、その時その時に違うとは思うけど、今日の今の気持ちで、いちばん好きな曲。
ももりょう えっと!苦笑。今いちばん好きなのは、「窓」ですかね。音源にはなってないけど。ピアノボーカルの曲です。あと、スタジオで3人でいて、いちばんしっくりするのは、「虚構によせて」です。
ー 他のお二人は?
幸喜 今のタイミングでは、「インターワールド」。加入してすぐに練習した曲だし、アレンジに悩んだ曲なんだけど、必死に覚えてた去年の今頃を思い出すから、今のこのタイミングではその曲かな。この間もスタジオで演奏してて、ふと、春の匂いがする曲だなって思った。それは自分の、去年の今頃の体験によるものかもしれないけど、暖かくなってきて、桜が咲き出すくらいのイメージが沸いてきた。今はまだ寒いけど、この曲をまたやる頃には暖かくなってるんだろうなっていう感じがして、ちょっと思い入れになってるかな。
ゆめん 私はそうだな・・・今店内でかかってるこの曲・・・。
ー 自分の曲で、お願いします。
ももりょう 笑。でも作ってる人だからね、難しいよね。
幸喜 最新のゆめんがぁ、最高のゆめんなわけぇ。(矢沢永吉さんの物まねで)
ゆめん やっぱり、今しか出来ない曲・・。
幸喜 ゆめん、考えたわけぇ。(物まねを続ける)
ー ロン毛、お前、ちょっと黙れ。
ゆめん あはは。でもいちばん長くずっと好きなのは、さっきも話題に出てた「インターワールド」だよ。どの曲も、飽きちゃうこともあるし、また好きになったりを繰り返すけど、いちばん長く好きなのは。
「rabukaって好きじゃないなって思ってる人にも、来て欲しいなって。たぶん、意外といいじゃんって思ってもらえると、思うので」
ー 当日のことについてもう少し。オープニングアクトもあるんだよね?
ゆめん 雑魚猫タワーさんは、奈良で活動してた3人組なんだけど、今はプログラミングとギター男の子と、ボーカルの女の子が上京してきて、2人で活動してます。春からは東京でも3人で活動するみたい。前に対バンしたときに、すごく素敵で、雰囲気が強いバンドだったから、rabukaと相性もいいんじゃないかと思って、お誘いしました。来てくださる方は、みなさんぜひ最初から観てください。
ゆめん あと、今回はアートワークにサイキエリさんを迎えてます。もともと、satohyohソロ作品のアートワークをしてて、すごくいい絵を描いてたから、rabukaでもライブCDのデザインをしてもらいました。今回はフライヤーとか、当日の会場づくりと、グッズでコラボレーションさせていただきます。サイキエリちゃんは、素敵な絵を描くのと、とにかく仕事が早いのがすごい。すごく真面目でいい子なので、大好きです。
幸喜 びっくりするくらい、仕事が早い。
ゆめん rabukaより先に売れてほしいよね。
幸喜 ちょうどいいので、ちょっと宣伝を。rabukaとサイキエリさんでデザインしたトートバッグを、ワンマンから販売します。数量限定にはなりますが、ぜひ当日手にとってみてください。増産の予定がないので、ぜひ!ツアーには・・・間に合わないかな?
ゆめん うーん。ワンマンからになっちゃうかな。
ももりょう ワンマンの前にツアーがありますが、3人で行きます。関西で観た人が、東京でのワンマン行きたいと思わせるくらいの気合いで、演奏します。関西の皆様、ぜひお越しください。
ー 最後に、ワンマンに来てくれる人に一言ずつお願いします。
幸喜 1年やってきたものを見せれる場なので、自分のもっているものを最大限出すために、アップライト以外も・・・ね。今のrabukaにおける自分の最大限を観てほしいです。
ゆめん 幸喜さん、髪切ったから、みんな見にくればいいよ。笑
ももりょう 関わってくれる人が今までで最大人数ということもあり、本当に、神経使ってというか、何から何まで気を配って、準備しています。しばらく観てない人には、どれくらい成長したかを見せられるように、いつも来てくださる方にも満足してもらえるように、頑張ります。
ゆめん (言葉を選びながら)・・・うん、rabukaを好きな人はもちろん、私を・・・好きじゃない人・・・も?
ー rabukaを嫌いにはならないでください!
幸喜 お前がボケてんじゃねぇよ。
ー 今のは誘い水でしょ!?
ももりょう 笑。
ゆめん いや、rabukaって好きじゃないなって思ってる人にも、来て欲しいなって。たぶん、意外といいじゃんって思ってもらえると、思うので。あと、うちのお父さんが照明器具を貸してくれるので、照明で何か演出したいなと思ってます。楽しみにしててください。
「インタビューの写真ってこんな手の動きだよね」
「でもこれダチョウ倶楽部さんぽくない?」
・・・・の図
ワンマンの前に・・・
~関西TOUR~
■ 3月14日(木) at 扇町Para-dice
出演:Zweig、rabuka、stereo future、白鍵と黒鍵、LADYBARD
開場18:00 開演18:30 予約 1000円+drink
■ 3月15日(金) at 心斎橋FANJ Twice cafe
出演: rabuka(東京)、かわらともみ、中野ツトム(ある優しい衝撃。)
開場19:00 開演19:30 予約1000円 +2DRINK 1000円
■ 3月16日(土) at 京都祇園・ジプシーハウス
『ナナイロドロップ vol.2』
出演:綾目和人、よしずみりさ、nezire、rabuka
開場14:30 開演15:00 予約2000円 当日2300円 (+1d)
遠方割あり。着物でご来場の方ワンドリンク無料!
【物販情報】(ライブCD)
『さながらジャンボリー2012 at 7th Floor』
2012/10/14 よりrabukaサイトおよびライブ会場で販売中
9曲入 1000円 ※200枚限定価格!!!!
Design:サイキエリ
1.とらのあな 2.journey 3.たびのとり 4.アキノユウ 5.さんしょううお 6.その先に続く海 7.twice 8.よる 9.虚溝によせて
『satohyohによる、rabukaライブCDレビュー』
2012年6月に開催された自主企画での演奏を、改めてミックスして制作されたライブ作品。メンバーらも「2012年夏、現状のベスト盤」と語り、定番曲を中心に、壮大なグランドピアノと力強い歌声、それらを盛り立てるアコースティック楽器群、rabukaに魅了された観客の暖かな雰囲気までをパッケージングした、「rabukaの今」が詰まったライブ盤。まだrabukaを知らない人にも、まずはこれを聴いてみてくださいと、お薦めしたい。
#2「journey」では、列車で遠くの人へ会いに行く待ち遠しい気持ちが歌われているが、パーカッシブなドラムはまさに列車の音のようだし、強弱を繰り返す印象的なピアノのフレーズは、車窓の景色のように過ぎ去っていく。アウトロの心地いいリフレインは、目的地とそこにいる人に近づくにつれ高揚する気持ちを表すようだ。
#5「さんしょううお」は、低音に特徴のある中性的な歌声をもつ、ボーカルゆめんの魅力が最大限に引き出された楽曲だ。徐々に感情を増す歌声に合わせ、ラストのサビではすべての楽器が一気に開放される。悲しみに暮れる懐かしい人に「また誰かを愛せばいいよ」と、この曲でいちばん高いメロディで歌われる言葉は、本当に深海に当てられた光のように、優しく神秘的な響きにさえ聞こえる。アップライトベースの弓弾きによる豊かなロングトーンが、より雄大さを演出している。
海の風景、と聞いて想像する景色が、体験によって人それぞれなように、音楽を聞いて思い浮かべる情景も、人それぞれだ。rabukaでよく歌われる海はどんな海なのか、名前のない主人公はどんな顔でどんな仕草をする人なのか、想像できる余韻を歌詞によって残し、しかし演奏とアレンジでは、確かな景色(写真のような記録ではなく、自分の内側にあるイメージ)を、どの曲でもしっかりと提示している。
こうした景色描写のアレンジもrabukaの魅力のひとつであり、物語性の強い歌詞に相まって、5分間のショートフィルムをオムニバスで見ていくような楽しみを持った作品になっている。初期の人気曲「その先に続く海」と、この収録の段階で最新曲であった「虚構によせて」が一緒に聴けるのも、ファンに好評な理由のひとつのようだ。
ライブハウスに限らず、庭園、コーヒーショップなど様々な場所で自主企画を行うrabukaにとっては、ライブ自体がすでにひとつの作品と言える。リピーターはもちろん、噂を聞きつけたお客さんで、自主企画はソールドアウトも多い。グランドピアノや豊富な機材のある会場で演奏されたこの日のライブも、満席のお客さんの、終演後の満足そうな顔が印象的だった。もし、この作品を聴いて、ここに居たかったなと思った方は、ぜひ一度、rabukaの多種多様な企画イベントに足を運んでいただきたい。